人の手が入って整備されているキャンプ場には危険な生き物っているの?
熊とかはいないと思うけど虫とかはいるでしょ?
どうやって気をつければいいの?
こういった疑問に答えます。
この記事を書いている私は、15年以上キャンプ等のアウトドアを趣味として楽しんでいます。
現在も季節を問わず自然を楽しんでいる現役のアウトドア好きです。
この記事ではキャンプ場に潜んでいる注意しなければいけない危険な生き物について解説します。
キャンプ場にいる危険な生き物についてまとめました
マムシ(日本全域)
どうするべきか
4月から10月までの田んぼや河川の周辺、草むらに出没。
もしも咬まれたら
”速やかに毒を絞り出して、走ってでも早く病院へ行き”
治療を受けましょう。
特徴
日本全国に生息しています。
田んぼや小さな川の周辺、湿った溝や河川の草むらにいる事が多いです。
活動時期は4月から10月までの暖かい時期で夏は夜間の活動も活発です。
全長に対して胴が太く三角の頭が特徴で
瞳が縦に長い大きな目と
熱感知器官(ピット器管)を持っており
これにより夜間でもエサ動物の位置を正確に把握することが出来ます。
人が近づいても逃げずにとぐろを巻いたままでいる事が多く、
見落として踏んでしまう危険があります。
ジャンプはせず射程距離は30cm程度と言われ1mも離れていれば安全です。
毒の症状
- 体長が小さく毒の量は少ないですが、毒性はハブより強いと言われ年間で10名程の死亡事故が発生しています。
- 咬まれた直後からの痛みと腫れ、1時間くらいで皮下出血、水泡、リンパ節の腫れや発熱、めまい、意識障害などがおこる事があります。また激しいアレルギー症状(アナフィラキシーショック)を引き起こす事もあります。
- 1時間以上経過しても症状がでない時は、毒素が注入されていなかった可能性もあります。
咬まれた時の対処方法
- 以前は「激しく動くと毒の回りが早くなるからゆっくり動いて病院へ行く」と言われていましたが
最近の研究では「走ってでも病院へ行って、一刻も早く治療を受けるのが大切」という見解(全国調査によるマムシ咬傷の検討より引用)もあるようです。
これは入院期間から算出された考え方のようです。
もちろん冷静な行動が前提になりますのでパニックになっていいという訳ではありません。
マムシの場合はマムシ抗毒素血清投与などの治療を受けます。 - 余裕があれば咬んだヘビ種類を覚えておくと病院での対応が早くなります。
わからない場合はスマホでヘビと咬まれ痕の写真を撮りましょう。 - 咬まれてしまったら、口を使わずに傷口から毒を絞り出します。
ポイズンリムーバーという吸引器がり直後であれば若干の効果があり、なおかつ使用する事で「処置をしたから」と不安を軽減する効果もあります。
ですが、あくまでも若干の効果程度でなので速やかに病院へ行ってください。
ポイズンリムーバーは持っているとお守りがわりになります。
ヤマカガシ(本州・四国・九州など)
どうするべきか
4月から11月までの田んぼ、河川、池などの水辺に出没。
咬まれたら
速やかに毒を絞り出して、走ってでも早く病院へ行き
治療を受けましょう。
特徴
- 本州・四国・九州に生息しています。
カエルを主食としているため水辺を好み、山間部の田んぼ、河川、池の周辺に多いです。
活動時期は4月から11月で真夏は涼しい朝夕や雨の日に多く昼行性となります。 - おとなしい蛇で人を見ると逃げだします。
こちらからちょっかいをかけなければ攻撃してくることはないが、逃げ切れないと攻撃態勢をとることがあります。
稀に攻撃的な個体もいる為注意が必要です。 - 危険が迫るとコブラのように頭を持ち上げ、頸部を平たくし頭を揺すって毒腺を目立たせることで威嚇してきます。
- 前歯には毒がないので、そこで咬まれても問題ないです。
棒などで刺激すると首筋の毒腺から毒を飛ばして攻撃してくることがあります。
目に入るとひどい結膜炎になるので注意してください。
毒の症状
- 咬まれた直後は強い痛みや腫れはないといわれています。
時間と共に歯茎や傷跡などから出血が始まり、血が止まらない状態に至ります。 - 頭痛が起きる事があり、その場合は毒量が多く重症化しやすいと言われています。
重症例では脳出血・急性腎不全・播種性血管内凝固症候群などを引き起こす可能性があります。
咬まれた時の対処方法
- 基本的にはマムシに咬まれた際と同じで一刻も早く治療を受けてください。
違いとしては、ヤマカガシの毒は直後では症状が出ないため毒ヘビに咬まれたと気づかない人がいる事です。
時間がたって毒の症状が出る事もあるので自然の中で遊ぶ際には知識として頭に入れておくとよいでしょう。 - マムシと同様に余裕があれば咬んだヘビ種類を覚えておくと病院での対応が早くなります。
わからない場合はスマホでヘビと咬まれ痕の写真を撮りましょう。
スズメバチ(日本全域)
どうするべきか
7月から9月にキャンプに行く時は白や薄めの色で行きましょう。
刺されたら一旦その場から離れてから毒を絞り出して病院へGOです。
特徴
- 種類によりますがスズメバチは日本全域に生息しています。
日本には合計3属16種が生息しており7月頃から羽化をはじめ9月から10月頃が個体数のピークとなります。 - 狂暴かつ攻撃的なイメージを持たれるスズメバチですが、基本的には巣を守る為の行動です。
何もせずに襲ってきているようでも近くに巣がある場合があります。 - キャンプ場で飲食する場合に、飲み残しや飲んでいる最中に放置されたジュースやアルコール飲料の缶内にスズメバチが潜り込み口などを刺される事故があります。
スズメバチは活動に必要な糖分を求めてビールや缶チューハイなどのアルコール飲料、ジュースに誘われます。
飲まないときはクーラーボックスにしまうようにしましょう。
また飲み終わった缶は水ですすぐなどスズメバチを寄せ付けないような注意が必要です。 - 黒い物に攻撃的となる習性はありますが、他の色に対して攻撃しない訳ではありません。
動いていれば白だろうが攻撃してきます。
また濃いめの色もスズメバチから見ると黒に見えるので攻撃対象となりやすいです。
安全面を考えた服装は白や薄めの色という事です。
毒の症状
- 年間20名程の死亡事故が発生しており、日本での野生動物による死因の首位となっています。
殆どがアナフィラキシーショックを原因としています。 - 激しい痛みや免疫系の混乱による急性アレルギー反応などを引き起こします。
刺された場合にはごく稀ですがアナフィラキシーショックにより、蕁麻疹のように赤く腫れる場合があります。
刺された時の対処方法
- 近くに巣があると毒液のにおいに引き寄せられて仲間の蜂が集まってくる危険があります。
まずは落ち着いて、その場所から離れてから応急処置を行いましょう。 - 出来るだけ早く(3分以内)刺され多部位を絞ったり、ポイズンリムーバーで毒の排出を試みます。
流水で洗い流すのも効果的です。そして持っていれば抗ヒスタミン軟膏を塗って病院へ行きましょう。(ちなみにアンモニアは効きません)
ムカデ(北海道以外)
どうするべきか
夜行性なので虫取りや起床時の靴に入っていないか注意。
咬まれたら
43度くらいのお湯を10分以上かけ続け毒を分解。
その後抗ヒスタミン軟膏などを塗りましょう。
特徴
- 種類により多少違いがありますが3月から10月にが活動時期となります。
- 基本的には臆病な性格ですが接触してしまうと咬まれてしまう事があります。
- 夜行性でかぶと虫取りの際に木に一緒にいたり靴の中に入って来たります。
毒の症状
- 咬まれるとハチに刺されたような激痛を感じ、時には痒みも感じることもあります。
治療には抗ヒスタミン軟膏やステロイド軟膏を広範囲へ塗ります。 - ムカデの毒素が全身に広がってしまった場合には頭痛・発熱・めまい・吐き気などの症状が出る事があります。
また、呼吸困難やじんましん、気分不良などの症状が出た場合にはアレルギー症状が出ている可能性があるので病院へ行ってください。
咬まれた時の対処方法
- ムカデの毒は42℃以上の熱に弱いため、噛まれた直後であれば温めた方が良いとも言われています。
用意できそうであれば42~43℃のお湯を10~20分程度かけ続けます。
40℃以下のお湯では、毒の酵素活性が増加するため、痛みが増します。
あまり熱いお湯ではやけどをおこす可能性もあり注意が必要です。 - お湯が用意できないようでしたらポイズンリムーバーで毒の吸出しを行います。
マダニ(日本全域)
どうするべきか
マダニの生息する、山やあぜ道、草むらを歩くときには肌の露出の少ない服装を。
咬まれたら自分で取らずに病院に行きましょう。
特徴
- 生息時期によりますが年間を通して活動しています。
近年話題となっているSFTS(重症熱性血小板減少症候群)や日本紅斑熱、ライム病、ツツガムシ病、回帰熱など様々な感染症を媒介する可能性があります。 - 生息地域はシカやイノシシ、ウサギなどの野生動物がすんでいる生息域に多くいますが、近年は民家の裏山、畑、あぜ道、地域によっては公園などにも生息しています。
感染症の症状
- すべてのマダニが病原体を持っているわけではなく、咬まれたからといって必ず発症するわけではありません。
病原体の数や咬まれた人の免疫状態によっても、感染確率は異なります。 - 発症する確率はSFTSだと0.3%程度で、発症しても軽度なら無症状もしくは軽い風邪くらいで済む人もいます。
ただし発症者の3〜5割は死亡する上に、治療薬がなく対症療法となります。 - 日本紅斑熱には治療薬がありますが、こちらも重症化すると多臓器不全やDIC(播種性血管内凝固症候群)を引き起こすおそれがあります。
咬まれた時の対処方法
- 咬まれているのを発見しても自分で取らないように。
固定されたダニは簡単にはとれず無理に引き抜こうとダニの胴体をつまむと、病原体を持っていた場合吸った血液とともに体内に逆流するおそれがあります。
- 咬まれたことに気づいたら、なるべく早く皮膚科を受診して除去しましょう。
放っておいてもいずれ自然にとれますが、万が一マダニが病原体を持っていた場合、長くくっついているほど感染確率が高くなってしまいます。 - マダニに咬まれて数日〜1週間以内に熱が出たら、まずは病院で検査を受けましょう。
刺し口からの遺伝子検査を行えば数時間で感染症かどうか判断でき適切な治療が行えます。
チャドクガ(本州以南)
どうするべきか
4月から6月、8月から10月と2回ほど発生します。
キャンプ場で発生の確認と、時期にはツバキ科の植物に気をつけましょう。
刺されてしまった際には軽く考えずに皮膚科へ行きましょう。
特徴
- チャノキ、ツバキ、サザンカなどのツバキ科の植物を食べる毒蛾の幼虫です。
4月から6月、8月から10月と2回ほど発生します。 - 何らかの刺激があると頭を上げ左右に振るユーモラスな行動が見れます。
この行動については、同時に同じリズムで動くことで、大きな生物だと思わせ天敵を威嚇している。
体を揺らすことで、毒針毛(どくしんもう)を風に乗せ天敵を攻撃しているなどの仮説がありますが、明らかにはなっていません。
毒の症状
- 触れてから2~3時間位で赤く腫れ痒くなります。
一度この毒針毛に接触すると、抗体が形成され、2度目以降の方が症状が重くなる傾向があります。 - 毒針毛が皮膚に付着したあとに触れたりすることで皮膚に刺さり、内部の毒が注入され痒みが発生します。
掻きむしることで炎症が広がります。 - 毒針毛は極小さくあらゆる隙間に入り込み、腕全体や体の広範囲に刺さる事があります。
服をすり抜けることもあり予防も難しいです。
刺さった時の対処方法
- 蚊に刺された程度と軽く考えて放っておくと、だんだんと全身に痒みが広がり眠れなくなったりします。
発熱やめまい、嘔吐、場合によっては痙攣が出現する事もあり、そのままにしておくと長期間かゆみが続くので早めに病院へ行きましょう。
いないとは言い切れない、危険な生き物!
ツキノワグマ(本州・四国)
どうするべきか
出会わない事が第一です!なので目的のキャンプ場付近の出没情報をチェックしてから行くように。
フンや爪痕、クマ棚などのフィールドサインに注意しましょう。
予防策として熊鈴、熊スプレーを所持するのもおすすめです。
特徴
本州の約45%の地域に生息しています。
最近では山中のエサ(ブナやナラの実)の減少に伴い人里に降りてくることが増え、ニュースで目にする人もいると思います。
その為整備されたキャンプ場といえども絶対に安全とは言えない状況です。
ツキノワグマの体長は110~130センチ、体重はオスが80キロ程度、メスが50キロ程度と一見するとそんなに大きくない印象を受けますが、「勝てるかも」等とは思わないでください。
また走る速度は時速40㎞程もあり走って逃げるのは不可能です。
クマに対する対処法
遠くにクマがいることに気がついたとき
- 落ち着いてその場から離れましょう。
- クマをおどろかすので、大声を出したり、走って逃げるのはやめましょう。
- 写真をとるためフラッシュを使うのも止めましょう。
近くにクマがいることに気がついたとき
- 落ち着いてゆっくりとその場から離れましょう。その際、クマに背を向けずに、クマを見ながら、ゆっくり落ち着いて後退してください。
すぐ近くで出会ったとき
- あわてた人の急な動作で驚いて、攻撃してくることがあるので、冷静に、あわてず、クマが立ち去ってからその場を離れましょう。
- 突発的におそわれたら、両腕で顔や頭をガードして、大ケガを避けましょう。
最後に
自然の中でには色々と危険な生き物はいますが、生態を理解する事で殆どの危険を回避する事は可能です。生き物との距離感をうまくとりながら自然遊びを楽しんでください。